知人のためだけの間取りVR

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2017.7.15

知人のご両親がマンションを購入予定で、今は間取りを検討中です。
住宅の間取りをVRで体験する事例はすでにいくつもありますが、ATLの充実した機材を使えば、自分でも作れるのではないかと思い、作ってみました。

上の動画が、完成した空間です。
※VR体験の様子は記事を読み進めていただくとご覧いただけます。

本作品の開発手法をご紹介させていただこうと思います。


Sketchupでの作業

まずはSketchUpという建築モデリングソフトを使って間取り図面を立体化しました。SketchUpは始めて触りましたが、Adobe Illustratorを使い慣れた人なら、SketchUp主催のセミナー動画を見れば半日もかからず使いこなせると思います。紙の図面をもとに、1時間ぐらいあれば下の状態までモデリングすることができます。

「ものさしツール」を使うことで、好きな箇所を計測できるので、今住んでいる家に対して、マンションがどれぐらいの広さなのかを各部屋・各箇所ごとに把握できるので、「ここはどれくらい?」「この家具は置けるかしら?」という質問に即座に回答できるので、間取りを理解する上ですごく喜んでもらえました。

また、SketchUp上でテクスチャも貼れるので、壁の色の変更や、洋室を和室にしたときの雰囲気なども検討できました。

ここまでは私個人が持っているMacbookPro(2013年13インチモデル)で作業しました。上の建築モデルでしたらSketchUp自体が軽量なソフトなせいか、Mac本体のファンも回ることなく、処理もスムーズでした。


Unityでの作業

最近のUnityではSketchUp形式のファイルをそのままインポートできます。
※ただしSketchup2015の形式でないといけないので、Unity→SketchUpに戻しての編集&保存更新作業は困難でした。

SketchUpのモデルを配置すると、思っていた以上にそのまま読み込んでくれるので感動します。余談ですが、脱出ゲームや建築を舞台にしたダンジョンゲームを作るなら、SketchUpでモデリングしてUnityにインポートするのが一番楽そうに思います。

Unityにモデルを配置したあとは、できる限りリアルで綺麗な絵作りを目指しました。
「Unity+ライティング+建築インテリア」あたりの資料をネットで調べると

  • 読み込んだSketchUpモデルデータはGenerate Back FaceをONにして両面ポリゴンにし、Genarate Lightmap UVsもチェック、Generate Colidersで衝突判定をONにして中を歩けるようにする
  • 配置したオブジェクトはstatic 設定してBakeする
  • Directional Light で室内にさし込む光の具合を調整する
  • 開口部(窓)と同じサイズのAreaLightを配置し、光量は少し減らして青白い色に設定する
  • Reflection Probeを設定することで、反射する物体の映り込みを整える
  • ベイク時のLightmapping Settingsをできるだけ高品質に設定する
  • 最後にPostProcessingStackで色調調整、全設定をON設定すればそれだけでいい感じになりますが、特にColor GradingとBloomは効果的ですね

これぐらいやれば、Unityライティングの素人にとっては贅沢なぐらいの質感を持った空間ができました。

ライト設定し、PostProcessingStackで画調を整えるだけでこの状態。キッチンはSketchupの時点で配置していたローポリゴンのオブジェクトです。

あとはFPSControllerを配置して中を歩けるようにすれば、この時点で、家具配置前の建築を体験できます。天井高をイメージできるのも有用でした。
マンションデベロッパーはモデルルームのような完成後の綺麗なCGを用意してくれることは多いですが、こうやって素の状態の間取りを体験できるというのは貴重で有益なことだと思います。マンションデベロッパーのためではなく、購入者のためのシミュレーションをしてあげられます。


ATLのハイスペックPC

ベイクしたことによって事前に陰影処理は終えているので、リアルタイムの陰影処理よりは負荷が少ないにも関わらず、MacbookのUnity上で再生してみるとファンが豪快に回るようになります。この辺りで私のMacは限界のようで、ATLにずらーっと並んでいるトップクラスPCに頼ることにしました。

  • Core i7-6950X @3Ghz 10コア
  • GeForce GTX 1080
  • メモリ64GB
  • デュアルディスプレイ
  • キーボードはREALFORCE
  • 椅子はBaron
  • VIVE備え付け(スタッフさんに言えばOculusも使える)

という、自作PC雑誌を読んでは予算とスペックの着地点を追い求めている私をあざ笑うかのような最上スペックのマシンが使えます。

何の努力もせずに突然手に入れた最高の環境、、。

案の定めちゃくちゃ高速で、Unityのベイクにかかる時間が雲泥の差なので、これ以降はATL以外では作業しなくなりました。
他の一般的なパソコンでは現実的でないような負荷の高い設定ができるので、結果として高画質のライトマップを使うことができます。マシンスペックに頼るだけでクオリティが上がるのです。ありがたい!!


Unity上で家具を配置

家具については、AssetStoreに頼りました。いつもは財布の紐が固い私ですが、個人では絶対買わないようなハイスペックマシンとVR機材がATLのおかげで無料で使えるため、AssetStoreでの素材購入への心理的ハードルはほとんど感じません。


VR(VIVE)との連携と、ATLのVR歩行開発ルーム

せっかく無料で使えるのでVIVEと連携してみました。

ATLには「VR歩行開発ルーム」というスペースがあり、そこにはVR用にバックパックPCが4台用意されています。バックパックPCを背負えば、VR体験の課題であるケーブルに絡むこともありませんし、天井にVIVEのセンサーが備え付けられた専用の空間なので、部屋の端から端までを動き回れます。

オーソドックスなVR開発であれば、体験者にコントローラーで行き先を指示してワープしてもらうのが通例ですが、ATLでは実際に動き回れます。覗き込んだり、走ったり、床に座ったり、寝転んだりもできます。言うまでもなく直感的で、リアルな体の動きと連動しているのでVR酔いにもなりにくい。
建築VRという観点から考えても、実際に立ったり座ったりして天井高を体験したり、空間内を動いたりできるので、建築模型では分からないことも分かるのが良いですね。

こうやって、不特定多数向けではなく、特定の数人のためだけに、気軽にVR作品の制作に取り組めるというのは、対価として得られる感謝も大きいし、実際に労力以上に相手に喜んでもらえました。これはATLで無料で機材や設備を使わせてもらったからこそできたので、私のような個人開発者にとっては非常にありがたいです。

たった数日で、個人でこれだけの建築シミュレーションが作れることに我ながら感動しました。今回購入した家具素材も今後使いまわせるので、物件購入予定の知人や、そこからの口コミ紹介をあてにすれば、そこそこ稼げる間取りコンサルタントにだってなれそうな気がします。


追記

9/5のATL交流会でのライトニングトーク用の資料貼り付けておきます。


トリュフオイル夫人

Unityは少し触ったことがありましたが、VIVEは初めて使いました。
ATLにくれば広々と空間を使えるコンテンツが作れるので、いろいろアイデア考えてVR作品を作っていけたらいいなと思います。